福田ビジョンは受け入れられるのか?
太陽光発電や風力発電の導入が進むと、日照量や風量の変化による発電量の変動が電力系統を介して電力システムに与える影響を無視できなくなる。そこで、太陽光発電や風力発電の大量導入のためには、このような発電量の変動を緩和する蓄電池や調整電源等が必要となる。蓄電池をはじめとする系統安定化対策は新エネルギーの導入に不可欠であり、系統安定化技術や蓄電池を活用したシステムを、価格低減を図りつつ整備していくべきである。
i) 研究開発
まず、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車の性能向上・価格低減に不可欠なキーテクノロジーである蓄電池のさらなる研究開発が必要である。このため、総合的な研究開発拠点の整備等を含め、重点的な技術開発を強化・拡充する必要がある。
蓄電池のみならず、モーターの技術開発を併せて行うことにより、蓄電池とモーターをあわせたシステムとしての高性能化や低価格化を実現するというアプローチも重要である。さらに、これまでの技術の改良を超えた、全く新しい発想や材料による革新的な蓄電技術を模索するための基礎科学的な研究も必要となろう。
また、近年、燃料電池自動車の技術進歩はめざましいが、引き続き研究開発が重要である。
ii) 導入支援
プラグインハイブリッド車や、従来の性能を大きく上回る次世代電気自動車が、数年内に市場に本格導入される動きも出ているため、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車を含む次世代自動車の導入支援、急速充電器の整備等が必要である。
iii) 社会実験
プラグインハイブリッド車や高性能な電気自動車、充電インフラを実際に利用してみる大規模な導入実証試験(社会実験)も重要である。
自動車用に限る話ではないが、高性能蓄電池について、関連する規制の点検や規格策定に取り組み、普及のための環境を整備することも必要である。
iv) 率先導入
公共機関や大量保有ユーザー等においては、次世代自動車の率先導入が期待される。